遺伝子

おばあちゃんは94歳。
洋裁、和裁を昔からしており、今も毎日のように、朝から晩まで針仕事をしている。家の押入れの中に、埋もれているような、着なくなった着物の生地を、大切に大切に使って、パッチワークや、巾着、かばん、人形、なんでもかんでも作ってしまう。
昨日は、そんなおばあちゃんの元で、是非!と、今度イタリアから帰ってくる友人に渡す小物を作りに行った。

まず、和裁の基本である、「運針」から。
「指貫」を使って運針をできるようになると、絶対に後々いい!とおばあちゃんが熱く語るので、使ったことのない指貫を、指に通しとりかかるが・・・。
自分で言うのもなんですが、わりと器用な方だとは思うのだけど、なぜか思うように指が使えない!!普通に縫うなら、なんなりして縫えるのだけど、正しい運針は本当に難しい!
ただ、これができるようになると、硬い布でも、楽に縫えるらしい。

悪戦苦闘しながら、縫い合わせて行く・・・。
一つのものを作りあげるのにも、たくさんの工程がある。紐を通すとこを考えながら生地を切り、裏地を合わせることを考えて、ゆとりをもたせ、とにかくすごい頭を使う。
こりゃ〜おばあちゃんボケるはずないよ!さすが!

私が、作ったこの巾着を、おばあちゃんならかる〜〜く、3個は作ってしまうのです。おばあちゃんにとっては、見えにくくなった目で、針に糸を通すことが、一番難しいらしい・・・。

毎回おばあちゃんの家に行くたびに、作品が増え、惜しみなく人に贈る。
「縫い仕事がないと、おばあちゃんは元気でおられへん。」あばあちゃんの口癖。これこそが、94歳になって、支えがないと歩けないようになっても、こんなに元気に一軒家でひとりで生きていける秘訣か。

本当に尊敬してしまった。
わたしにも、おばあちゃんの遺伝子が受け継がれているはず!?
早く目覚めよ!!